内部領域
循環器疾患を有する高齢者に対する理学療法
高橋 哲也 氏
順天堂大学 保健医療学部理学療法学科 副学科長・教授
順天堂大学医学部附属順天堂医院 リハビリテーション室 室長補佐(併任)
順天堂大学 デジタルヘルス・遠隔医療研究開発講座 教授(併任)
【講演概要】
近年、社会の高齢化に伴い循環器疾患を合併した高齢患者が増加している。理学療法士の仕事は患者に運動というストレスをかける仕事ともいえ、運動をする際には心臓に少なからず負担をかけることからも、心疾患を合併した患者を担当した際には、「どの程度の運動ならば大丈夫だろうか」、「心臓にあまり負担をかけてはいけないのでは」と不安に思うことも少なくないであろう。このような心疾患への苦手意識はどこから生まれてくるのか?ほとんどの場合、それは1)運動負荷を正しく理解しておらず、普段の理学療法を定量化していない、2)バイタルサインの変化を過剰に心配していることに起因している。
心臓は加齢によって「弱くなる」というよりも「固くなる」ことが知られており、運動時の息切れについても、肺うっ血が進んだことによる息切れなのか、運動筋の感受性の問題なのか、それとも加齢による心臓の拡張不全によるものなのか、判断によっては理学療法プログラムに大きな違いが生じて効果にも差が出てしまう。循環器疾患を合併した高齢患者は年々増え続けていることから、心疾患の確実な評価と運動負荷の正しい理解は、極めて重要である。
【受講者へのメッセージ】
循環器対策基本法ができて、また回復期リハビリテーション病棟でも心臓リハビリテーションが認められて、循環器疾患に対応できる理学療法士の重要性が高まっています。循環器疾患を理解して、リスク管理に長けた理学療法士を目指しましょう。
【略歴】
【学歴】
平成元年3月 国立仙台病院附属リハビリテーション学院理学療法学科卒業
平成9年4月〜平成13年3月 (オーストラリア)カーティン大学大学院理学療法研究科 (修士)
平成13年4月〜平成16年3月 広島大学大学院医学系研究科保健学専攻 (博士)
【職歴】
平成元年4月〜平成7年6月 聖マリアンナ医科大学病院 理学療法士
平成8年4月〜平成9年3月 石岡循環器脳神経外科病院 理学療法士
平成10年9月〜平成19年3月 群馬県立心臓血管センター リハビリテーション課長
平成19年4月〜平成23年3月 兵庫医療大学リハビリテーション学部理学療法学科 教授
平成23年4月〜平成30年3月 東京工科大学医療保健学部理学療法学科 教授
平成30年4月〜平成31年3月 順天堂大学保健医療学部開設準備室 特任教授
平成31年4月〜現在 順天堂大学保健医療学部理学療法学科 副学科長・教授 順天堂大学医学部附属順天堂医院リハビリテーション室室長補佐(併任)
令和2年4月〜現在 順天堂大学デジタルヘルス・遠隔医療研究開発講座 教授(併任)
【主な役職】
平成18年7月〜 日本心臓リハビリテーション学会、理事 (副理事長 平成22年7月〜現在に至る)
平成27年6月〜 日本理学療法士協会 理事(〜現在に至る)
令和2年3月〜 日本集中治療医学会 理事(〜現在に至る)
令和3年4月〜 日本循環器理学療法学会 理事長(〜現在に至る)